Writing philosophy : a student's guide to writing philosophy essays
哲学道場分科会のひとつ、読書会用の要約もしくは和訳原稿です。このテキストは学部生向けの哲学レポート argumentative essay の書き方指導用の教材です。
本書は哲学コースの教師が本来教えるべき哲学の講義内容よりも哲学に固有の執筆方法を教えるのにリソースを割かなくて済むよう、役立つ副教材として書かれた。
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cf. 読解ルール
Rule 1-1 オープンマインドでテキストにアプローチせよ Approach the Text with an Open Mind
Rule 1-2 能動的かつクリティカルに読解せよ Read Actively and Critically
Rule 1-3 最初に結論を特定し、それからその結論を支える諸前提を特定せよ Identify the Conclusion First, Then the Premises
Rule 1-4 論証のアウトラインを描き、言い換えをおこない、要約せよ Outline, Paraphrase, or Summarize the Argument
Rule 1-5 論証を評価し、仮の判定を構成せよ Evaluate the Argument and Formulate a Tentative Judgment
Rule 1-5(論証の評価)の詳細手順は第2章で詳細に説明される。
本書で輪郭を描く outline という場合、論証部分の前提と結論にそれぞれ前提か結論かラベリングした上で、箇条書きにして一行ずつ並べる作業を意味する。前提や結論が必ずしも明示されていない場合に注意しよう。その場合は隠れた前提や結論を補完する作業が必要となる。
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第2章まとめ QUICK REVIEW : Basic Definitions p.42
1. 命題(=文) Statement: 何かが当該の事情に当てはまるか否かについての主張である。ひとつの命題 statement は真または偽のどちらかである 。
2. 論証 Argument: 複数の命題の組合せであり、そこでは一部の命題が他のひとつの命題を支持する support ように意図されている。支持を提供するように想定される諸々の命題は前提である。一方、支持を受ける命題は結論である。
3. 演繹(えんえき)的論証 Deductive argument: 論理的に決定的な〔=100%確実な〕支持がその結論に提供されていると想定される論証。演繹的論証は妥当 valid かもしくは 非妥当 invalid のどちらか一方である。真の前提を伴うvalidな論証は健全 sound と呼ばれる。
4. 帰納的論証 Inductive argument: 蓋然的(がいぜんてき、確率的) probable な支持をその結論に提供するよう意図された論証。帰納的論証は strong または weak のいずれかである。真なる前提を伴った strong な論証は説得的 cogent と呼ばれる。cf. 帰納の飛躍 Inductive leap
列挙論証 enumerative induction
類似論証 analogical induction
最良な説明への推論 inference to best explanation
論証の分析と評価の手順
1. 手順:論証の結論を見抜く(Rule 1-3 最初に結論を特定し、それからその結論を支える諸前提を特定せよ)
2. 手順:論証のアウトラインを抜き取り、箇条書きにして並べる(Rule 1-4 論証のアウトラインを描け)
3. 手順:アウトラインをパラフレーズして明確にする(Rule 1-4 言い換えをおこない、要約せよ)
4. 手順:ルールを適用する。まず演繹的論証か帰納的論証か、そのどのタイプかを判別し、導出できるかどうかを確認する(Rule 2-2 結論が諸前提から導けるか否か判断せよ)
5. 手順:ルールを適用する。前提の事実性を確認する(Rule 2-3 諸前提が真であるかどうかを判断せよ)
6. 手順:分析の結果をみて、仮の判断 Tentative Judgement を下す(Rule 1-5 論証を評価し、仮の判定を構成せよ)
自然言語の文章から論証部分と非論証部分を分割し、論証部分のみを取り出した上で、結論命題と前提命題を識別する作業を論証の分析と呼ぶ。
自然言語で書かれた原文から論証を抜き取りキレイなかたちに直した上で、もう一度原文を読み返し、「書き手が訴えたいことはこの論証で表現できているか?」と問うことも重要である。なぜならば、論証という形式はむしろ付け足しのもので単なる誹謗中傷や印象操作が主目的である書き手もいるからである。
いわゆる「数学的帰納法」は演繹的論証の一種である。
Kantが演繹という場合、論証と同義の場合が多い(カント辞典参照)。
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Rule 3-1 君の聴衆に向かって書くこと Write to Your Audience
Rule 3-2 見栄を張らないこと Avoid Pretentiousness
Rule 3-3 哲学者の権威と適切な関係を持つこと Keep the Authority of Philosophers in Perspective
Rule 3-4 前提や結論を書き過ぎないこと Do Not Overstate Premise or Conclusions
Rule 3-5 論敵や反対の見解をフェアに扱うこと Treat Opponents and Opposing Views Fairly
Rule 3-6 明確に書くこと Write Clearly
Rule 3-7 不適切な情緒への訴えをやめること Avoid Inappropriate Emotional Apeals
Rule 3-8 君が仮定したことに自覚的であること Be Careful What You Assume
Rule 3-9 一人称で書くこと Write in First Person
Rule 3-10 差別語を避けること Avoid Discriminatory Language
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基本的な小論文の構造 BASIC ESSAY STRUCTURE
導入(序論) Introduction
主題を支える論証 Argument Suppoting the Thesis
各異論反論の評価 Assessment of Objections
結論 Conclusion
よく構築されたエッセイ A Well-Built Essay
エッセイの執筆:ステップバイステップ Writing the Essay: Step by Step
Step 1 トピックを選択肢、それを特定の論点にまで狭めること Select a Topic and Narrow It to a Specific Issue
Step 2 Research the Issue
Step 3 Write a Thesis Statement
Step 4 Create an Outline of the Whole Essay
Step 5 Write a First Draft
Step 6 Study and Revise Your First Draft
Step 7 Produce a Final Draft
An Annotated Sample Paper
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Chapter 5 虚偽推理の回避 Avoiding Fallacious Reasoning
Chapter 6 Using, Quoting and Citing Sources
Chapter 7 Writing Effective Sentences
Chapter 8 Choosing the Right Words
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